談林サロン

DANRIN SALON

運鈍根の運

2020/07/27

運鈍根という言葉があります。人生を支えるキーワードとも言えます。
本日は運鈍根の「運」についてお話します。
運は縁が運んできます。人の短い一生では運がその人生を大きく左右します。
お大師様が遣唐使として唐の都長安への赴きました。まだ航海技術も稚拙な時代には命懸けの任務で、選ばれても病を理由に辞退する貴族もいました。実際に4艘の船団で行きましたが、大陸に無事着いたのは半分の二艘だけでした。しかもお大師様の乗った船は遥かに流され、目的地とは全く異なるところに着いてしまいました。
国家事業でも有る、大外交使節団の一員に突然選ばれたことには大きな縁と運が無いと無理です。そして唐の都で20年間学ばなければ日本には戻れないという立場でした。
しかし約2年で密教の全てを恵果阿闍梨から学び尽くし、恵果阿闍梨から早く日本に戻って密教を広めなさいと言われます。
遣唐使船がいつ来るか一介の留学生にはわかりません。
しかしまもなく遣唐使か来ることがわかります。
お大師様は目的の仏教は学び尽くしたので日本に帰る事を申請します。
同時に留学生仲間の橘逸勢の帰国も嘆願します。
本来国家の命令に背く行為ですが嘆願が受け入れられ2人とも無事日本に戻りました
もしこの船に乗らなければ日本にお大師様の教えは伝わらないし所の三筆も平仮名も大塔などの密教建築も日本には生まれませんでした。
実際に次の遣唐使船から来るのは三十年後です。
運の良さは大きな宝でもあります